結論:「最初から対象外」と「その期間だけ不支給」は分けて考える
育休手当として知られる育児休業給付金は、受給資格を満たしていないと最初から対象になりません。一方で、受給資格があっても、育休中に働いた日数・時間や会社から支払われた賃金によっては、特定の支給単位期間だけ不支給になったり、給付額が減ったりすることがあります。
「育休を取ったのに振り込まれない」と感じたときは、雇用保険の加入状況、育休開始前の勤務実績、退職予定の有無、育休中の就業・給与の4点を順に確認するのが近道です。
最初から育休手当の対象にならない主なケース
雇用保険の被保険者ではない
育児休業給付金は雇用保険の給付です。雇用保険の被保険者でなければ、原則として対象になりません。パート・アルバイトでも、31日以上の雇用見込みがあり、週の所定労働時間が20時間以上なら、原則として雇用保険の被保険者になります。
条件を満たしているのに雇用保険に加入していないように見える場合は、自己判断で対象外とせず、勤務先の人事・労務担当者またはハローワークに確認してください。
育休開始前2年間の勤務実績が足りない
原則として、育休開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上、または賃金の支払いの基礎となった時間数が80時間以上ある完全月が、通算12か月以上必要です。
産休から続けて育休に入る場合は、通常、産休開始前までの勤務実績が重要になります。
育休の当初から退職を予定している
育児休業給付は、育休終了後の職場復帰を前提とする給付です。育休開始時点で退職予定が決まっている場合は、育児休業給付金と出生後休業支援給付金の対象になりません。
ただし、受給資格確認のあとに退職することになった場合は、退職日まで支給対象になる扱いです。
有期雇用で、契約満了が明らか
契約社員など期間を定めて雇用される人は、子が1歳6か月に達する日までの間に労働契約が満了することが明らかでないことが必要です。保育所等に入れないなどの延長事由があり、1歳6か月後も育休を取得する場合は、子が2歳に達する日までの間が確認対象になります。
転職していても、すぐに対象外とは限らない
転職直後で今の会社だけを見ると勤務実績が足りない場合でも、前職の雇用保険の加入期間を通算できることがあります。過去に失業給付の受給資格決定を受けたか、前職から再就職までの空白期間がどのくらいあるかなどで扱いが変わるため、会社またはハローワークに確認してください。
また、疾病・負傷などやむを得ない理由により、連続して30日以上賃金を受けられなかった期間がある場合は、その期間を育休開始前2年の確認期間に加算できることがあります。確認期間は最長4年まで延長できます。
育休中に働きすぎると、その期間は不支給になる
育休中でも一時的・臨時的に就業することはありますが、育児休業給付金では支給単位期間ごとに就業日数・就業時間の上限があります。
| 支給単位期間での就業状況 | 育児休業給付金の扱い |
|---|---|
| 就業日数が10日以下 | 就業日数の要件は満たします |
| 就業日数が10日を超えるが、就業時間が80時間以下 | 就業日数・時間の要件は満たします |
| 就業日数が10日を超え、就業時間も80時間を超える | その支給単位期間は原則として不支給です |
支給単位期間は、育休開始日から起算する1か月ごとの期間です。カレンダー月ではありません。育休終了日を含む最後の支給単位期間が1か月未満でも、就業日数10日・就業時間80時間の基準で判断されます。
会社から給与が出ると、減額または不支給になる
育休中に会社から賃金が支払われても、直ちに全額不支給になるわけではありません。ただし、支給単位期間ごとの賃金額によって、給付額が減額されたり、その期間だけ不支給になったりします。
| 育休開始からの期間 | 賃金の目安 | 給付金の扱い |
|---|---|---|
| 180日目まで | 休業開始時賃金日額×支給日数の13%以下 | 原則として67%相当は減額されません |
| 181日目以降 | 休業開始時賃金日額×支給日数の30%以下 | 原則として50%相当は減額されません |
| いずれの期間も | 休業開始時賃金日額×支給日数の80%以上 | その支給単位期間は不支給です |
13%または30%を超えて80%未満の場合は、給付金が差額調整されます。育休中の短時間就業、研修、当番、手当などがある場合は、支給単位期間を対象とする賃金に含まれるかを勤務先に確認しましょう。
母親の産後休業中は、育休手当の対象ではない
出産した本人の出産後8週間は、原則として産後休業です。産後休業は育児休業給付金の対象ではなく、健康保険の出産手当金の対象になることがあります。
出産後6週間を経過して本人が請求し、医師が支障がないと認めた場合に就業を再開しても、出産後8週間を経過するまでは育児休業給付金では産後休業として扱われます。
分割した育休は、原則2回まで
同じ子について育児休業を分割して取得する場合、育児休業給付金の対象となるのは原則2回までです。3回目以降の育児休業は原則として給付対象になりません。
ただし、別の子の産前産後休業・育児休業・家族の介護休業が始まったことなど、法令上の例外事由に当てはまる場合は回数制限の対象外になることがあります。分割取得を予定している場合は、事前に会社へ確認してください。
1歳以降も給付を受けたい場合は、延長手続きが必要
保育所等に入れないなどの理由で育休を延長する場合、育児休業給付金の支給対象期間を1歳6か月、さらに2歳まで延長できることがあります。2025年4月以降は、保育所等の利用申し込みが速やかな職場復帰のために行われたものと認められることに加え、申込書の写しや入所保留通知書などの添付が必要です。
延長の可否は、保育園への申込時期・希望園の書き方・自治体の通知内容でも変わります。延長を考えている場合は、子が1歳になる前から自治体と勤務先に確認しておきましょう。
会社へ確認したいチェックリスト
- 雇用保険の被保険者になっているか
- 育休開始前2年間の要件月数を満たしているか
- 前職の雇用保険期間を通算できる可能性があるか
- 有期雇用の場合、契約更新・満了見込みに問題がないか
- 育休中に働く予定の日数・時間はどのくらいか
- 育休期間を対象とする給与・手当が発生するか
- 退職予定がある場合、受給資格確認前に決まっていないか
- 延長する可能性がある場合、保育所等の申込期限と必要書類は何か
自分の金額も確認しておく
受給資格がある場合でも、育休期間、育休中の会社給与、出生後休業支援給付金の対象可否で受け取れる金額は変わります。まずは概算を出して、勤務先へ確認する内容を整理しましょう。
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公式情報
本記事は2026年6月21日時点で公開されている情報をもとに作成しています。個別の雇用契約、勤務実績、就業状況、会社から支払われる賃金、保育所等の申込状況によって扱いが変わるため、最終確認は勤務先またはハローワークで行ってください。
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